◇ 「いっしょにあるこうね−盲導犬コディ−」について ◇


ずっと以前から描きたいと思っていた、私から出版社に
「ぜひ出させて下さい」と企画を持ち込んだ盲導犬についての作品です。

映画「クイール」公開と時期がかぶっていたために「便乗ですか」なんて
言われちゃったりするのですが、私がこの企画を秋水社に持ち込んだのは
'02年11月。 
「じゃあ、'04年頭に発売で」と決まった時点では
テレビも映画もありませんでしたし、仮タイトル「いっしょに歩こうね」
を提出した時点で、映画の宣伝文句に「いっしょに歩こう」なんて入る
などと知るはずもなく。笑。(盲導犬を端的にあらわそうとすれば、その
言葉に行き着くという事ですよね)

この本が2月末発売、すぐ3月に映画が公開、と、まあ、ほんとに時期が
かぶったのは、私も編集さんも驚いたくらいで、便乗邪心などまぁーった
くなかったと断言しますです。はい。笑。
ただ、もともとの写真集「クイールは盲導犬になった」は初版(1993年)
当時から持ってるファンですから、誤解されて光栄だす!‥というべき
ですかしらね(笑)。


内容については、動物好きな私の類友達でさえ、知らない事がたくさん
あったと感想をくれました。
特にアイコンタクトは「ごめん。穴があく程見てたよ。 頑張れ〜って
波動を愛のつもりで送っちゃってたよ」が、ほとんど。

や、取材前は私もつい見つめてました。ご多分に漏れず。すみません。
そういったガイドにも、書いてあるのは「お仕事中の盲導犬にはさわら
ないであげて下さい」ですものね。
ただ、実際取材して、ユーザーさんと犬と一緒に歩いてみると、アイコン
タクトをする人の多さに驚き。見つめてるこっちは一人でも、×愛犬家
さんという数。
これは犬が大変、気が散ってしまうもなにも‥と実感しました。

そして、「さわらないで下さい」までは言えても、いきなり「アイコン
タクトしないで下さい」とまでは、あたたかい応援心をもって下さる方
に言いにくい、という感覚もよくわかりました。
(触られるのと違って、目の見えないユーザーさんには、犬の様子で誰
かを気にしてる、という曖昧な判断しかできませんし、そりゃ、言いに
くいですよね)
今回は話の流れの中で自然に納得してもらえるのではないかと、盛り込
んでみたのですが、やはり、動物好きの方は「言われてみれば」と、
腑に落ちて下さるようで、安心しました。


ネットでも「知ってると思った盲導犬、意外と知らなかった」と書き
込みがあったそうで(すみません、また聞きで。ご多分に漏れずPC使い
はじめの頃、友人達に「自分に関するものは見ない方がいいよ、描けな
くなりかねないから」と忠告してもらってたにもかかわらず、好奇心に
勝てず自分の名前を検索してみて、うっかり否定意見を読んで落ち込ん
で以来、見ないようにしてるもので。笑)、
この作品ばかりは、私の漫画としてではなく「情報」として、ふだん
漫画を手に取らない方や、お子さん達に読んでいただきたいので、読み
終わって、手放してもいいや、とお考えの方はよろしかったら市の図書
館や、お子さんの学校の図書室等に寄贈していただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願い致します。

そして、
ただ犬が好き、というだけでは到底できない、社会的、精神的バランス
感覚の必要な、大変なお仕事をしてらっしゃる訓練士さん達に――、
ボランティアさん達に――、取材でお話伺って、ほんとうにこちらが
元気をたくさんいただいた、前を向いた姿勢の素敵なユーザーさん達
に――、 ユーザーさんに、周りの方たちに、可愛がられて、大切に
されて、愛されて育ったもの特有の気のよさ満杯の盲導犬たちに、
惜しみない拍手を!
烏童拝